PNSE(Persistent and Ongoing Non-Symbolic Experience)において、レイヤーの体験は一つの支配的なレイヤーとして感じられるだけでなく、複数のレイヤーに対するアクセスが広がる「流動性」と「統合」という形でも現れることがあります。この柔軟な体験は、ファインダーが深い精神的な安定を保ちながらも、日常生活で高い機能性を維持するのに役立ちます。今回は、このレイヤーの流動性と統合がもたらす利点について紹介します。
流動性とは、ファインダーが状況に応じて主観的な認識をレイヤー間で柔軟に移動させる能力のことです。この変化は意図的に行われる場合もあれば、自動的に起こる場合もあります。意図的に制御できる流動性は、環境や状況に合わせて最適な認識状態を調整できるため、非常に実用的です。たとえば、仕事や集中を要するタスクではレイヤー1を活用し、リラックスする時には上位レイヤーにシフトすることができます。
この流動性は、初期の場所で自然に発生することもあり、しばしばFW(Fundamental Wellbeing)の不安定さと解釈されることもありますが、実際にはFWの深度変化を反映しています。また、レイヤー間だけでなく場所間での流動性も可能ですが、こちらは習得がより難しいとされています。レイヤーと場所を超えて瞬時に柔軟に移行できる高度な流動性は「ハイパー流動性」と呼ばれます。
流動性と並んで、レイヤーを統合する能力もまた、ファインダーがより深い意識体験を得る手段となります。統合とは、複数のレイヤーを支配的ではなく同等に体験することで、各レイヤーを同時に感じながら日常生活を送ることが可能になる状態です。この統合は流動性に比べてまれであり、通常は意図的に開発が必要です。
統合は、特定のレイヤー同士で自然に生じることが多く、たとえば機能性を保つためにレイヤー1とレイヤー3が統合されることが一般的です。また、場所2ではレイヤー1とレイヤー2がある程度統合されていることもよくあります。理論的にはすべてのレイヤーを統合することも可能であり、これによりファインダーは各レイヤーがもたらす多様な視点を同時に保持しながら、どのレイヤーでも自由に焦点を移せるようになります。
単一のレイヤーにのみ焦点を合わせた認識は、自分の存在全体や表現能力を限定してしまう可能性があります。一方で、システム全体に柔軟性と統合性があれば、PNSE体験はより包括的なものとなり、実生活での機能性も高まります。特にレイヤー1は日常生活での実用性が高く、仕事やタスクを行う際には一時的にこのレイヤーに「ズームイン」し、リラックス時には上位レイヤーに「ズームアウト」するなど、状況に応じた調整が可能です。
また、レイヤー間での流動性を高めることは、心理的な癒しや再プログラミングにおいても非常に有用です。レイヤー1での条件付けは、上位レイヤーからの視点で解放しやすい場合もあり、各レイヤーが異なる視点を提供してくれるため、心理的ブロックやアンバランスの解消がしやすくなります。レイヤー間のアクセスが広がるほど、ファインダーの心理的成長と解放も大きく進展する可能性が高まります。